2021年11月14日<子ども祝福式>お話し

「ぶどう園で働きなさい」

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マタイによる福音書20章1~7節

 今日は奈良基督教会では子ども祝福式がおこなわれます。いつもとはちょっと違う感じでお話しをします。

 このお話しはイエス様が、天の御国はどんなところか、ということをみんなに分かってもらうためにしたものです。

 あるところに広いぶどう園を持っている主人がいました。その主人が持っているぶどう園が、収穫の時期になりました。自分たちだけではぶどうを取るのが難しいので、毎年この時期になるとぶどう狩りのお手伝いをしてくれる人を探しに行っていました。そして広場には仕事をしようと、夜が明ける前からたくさんの人たちが集まっていました。

 主人はそこにいる人に声を掛けます。あなたもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう」。

 「待っとったで。ぶどう園やね。お安い御用やで。僕は見ての通り体もおっきいし、力も強いから任せとき。ほんでお金はなんぼくれますん。ほう、1デナリオンなんか。1万円のことやね。ほな、行ってくるわ」。

 主人が最初に声を掛けたのは、みんな体も大きく、力が強そうな人たちでした。ぶどう園の主人は彼らをぶどう園に連れていき、ぶどう狩りをしてもらいます。でも広いぶどう園です。これくらいの人数では日が暮れるまでに終わらないかもしれません。そこで主人は再びぶどう園に出かけて行きました。

 主人はそこに立っていた人に言います。「あなたもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう」。

 「よかった。間に合った。今日、ちょっと寝坊しちゃって、夜明け前に間に合わなかったから、ドキドキしてたんですよ。ふさわしい賃金ですか。期待しちゃっていいんですかね。それじゃあ、頑張りますんで、よろしくお願いします」。

 ぶどう園の主人はそう言う彼らをぶどう園に連れて行きました。彼らは夜明け前から働いている人たちに負けないようにと、一生懸命働きました。

 ぶどう園のぶどうは、順調に収穫されていきます。ところが、ぶどう園の主人はお昼の12時にも広場に行きました。そして言います。「あなたもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう」。

 「本当ですか。実はぼく、夜明けからずっとここにいたんですが、みんなに押しのけられるし、僕、体が小さいから、みんなの影に隠れて見えないし。それでどうしようかと思っていたんです。ありがとうございます。頑張ります」。

 さらにぶどう園の主人は、3時にも広場に行きました。「あなたもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう」。

 「そんな、いいんですか。僕たち実は、他のぶどう園で働いていたんです。でも僕ら頑張っていたのに、そのぶどう園のご主人様がいきなり怒り出して『これくらいしか働けない奴にはお金は渡せん』、なんて言いながら追い出されたんです。あそこにいる子も、1万円の約束だったのに、10円しか渡されなかったって。本当に今からでも行っていいんですか。日が暮れるまでそんなに働けませんけど」。

 「いいから、行きなさい」。そう主人は優しく言いました。

 こうしてぶどう園には、夜明け前、9時、12時、3時と、いろんな時間に人がやってきました。それを見て、夜明け前から働いていた一人の人がブツブツ言いだしました。

 「おいおい、またやって来たがな。一体どないなっとんねん。こないな時間から働いても、対して役に立たへんやろう。僕らだけでも十分やのに」。

 夕方5時ごろになるとすっかりぶどうは収穫されてきました。あとはお片付けをするだけです。そんな中、ぶどう園の主人はまた広場へ出かけて行きました。そこには一人の人が座り込んでいました。

 「あ~あ。もう夕方たい。一日広場におったばってん、だんれも声掛けてくれんしゃったと。そげんいうても、しょんなかたい。僕は体はこまいし、力も弱かし、今もこうして寝そべりよーし。あ~あ、どげんしよ~か~」。

 彼に、主人は声を掛けます。「あなたもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう」。

 「なんば言っとんしゃるっちゃろ。そげん言われても、僕が行ったっちゃ迷惑かくるだけやし。ばってん働かな、今日食べる物もなかねぇ。ほんなこつ、よかとね。こらあ、ありがたかぁ。僕、頑張るけん、見ときんしゃいよ」。

 こうしてみんな、ぶどう園で働きました。そして主人は今日働いた分の賃金を、一番最後に来た人から順に配るよう言います。

 最初に夕方の5時から少しだけ働いた人が呼ばれました。「さあ、君にはこれだ。これを受け取りなさい」。監督に言われながら渡された封筒には、なんと1万円がはいっていました。

 「こりゃ何かん間違えやなかと」。そう不思議がる彼の姿を、主人は優しく見ていました。

 それを見ていた夜明けから働いていた人たちは、口々に言います。「見た?見た?やつら1時間しか働いとらんのに、1万円もろとったぞ。これは僕ら、どんくらいもらえるんやろう。楽しみやなあ」。

 監督は3時から来た人たち、12時から来た人たち、9時から来た人たちに賃金を渡していきました。いよいよ最後は、夜明け前から頑張った人たちです。監督は彼らに封筒を渡しました。

 「おおきに。ちょうだいしますよ。あら、思うたよりも軽い…。中身は、と。あれ、1万円。何でなんでっか。どうして1時間だけの人と同じだけしかもらえんのでっか」。

 主人は彼に答えます。「どうしたんだ。わたしはあなたと1万円で約束したじゃないか。わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ」。

 今日のこのお話し、夜明けから頑張っている人からすると、「なんで?」、「ずるい」と思うかもしれません。でもよく考えてみると、その人たちもちゃんと1万円という、ふさわしい賃金をもらっています。

 イエス様が伝えたかったのは、神さまは最後に来た人にも同じように払ってやりたい、つまり恵みを与えたいと思っているということです。神さまはそんなにも優しく、すべての人を大切にしてくれるお方なのです。

 僕たちわたしたちも、神さまの愛をたくさんいただいています。それは、夜明け前から働けるような強い体があるからではありません。たとえすぐに神さまの呼びかけに応えられなくても、神さまの思いとは違うことをしてしまっても、それでも神さまは愛してくださるのです。そのことを覚えていてくださいね。