2019年10月から始まった礼拝堂の耐震対策工事は2020年11月に完工し、安全・安心な祈りの場として整えられました。
2020年度の工事は、コロナ感染予防の休止期間明けの5月11日から始まりました。5月19日に礼拝堂西側内部足場が組み立てられました。23日には礼拝堂外部足場も組み立てられ、礼拝堂は全面防塵シートで覆われました。外壁漆喰の掻き落とし作業と礼拝堂内部西側側廊天井裏の鉄筋ブレース設置工事が始まりました。また、礼拝堂西側銅板葺庇に不具合が見つかり、県文化財課に補修工事の申請をし、本工事で改修することになりました。8月18日には、礼拝堂入口部の漆喰上塗りが完了し足場が撤去されました。9月19日礼拝堂内部足場が撤去され、1年ぶりにフルサイズの礼拝堂が戻ってきました。11月24日礼拝堂西側庇の銅板葺き替えが終わり、2年にまたがった工事が完了しました。
純白の漆喰も鮮やかな礼拝堂が戻ってきました。
文化財建造物の工事には、厳しい条件が課されています。原形の変更は基本許されません。使用する建材等も極力元の素材を使うように定められています。破損した屋根瓦を入れ替えるにしても、当時物と同様な瓦が必要となります。このように、慎重に、丁寧に、正確に工事は進められましたが、数々の課題を克服しながらの作業でもありました。耐震補強の重要な部品である鉄筋ブレース設置は困難を極めました。設置する天井裏の梁は原木が使われており、設置する部分の木製補強を一つ一つ現物合わせで製作する必要がありました。一日中、天井裏で作業される職人さんには頭が下がる思いでいっぱいになりました。
礼拝堂は堅牢かつ美しくよみがえりました。支えてくださった多くの方々に感謝!
本事業は文化庁「国宝重要文化財等保存・活用事業費補助金」他、奈良県、奈良市、大和文化財保存会、朝日新聞文化財団の補助金・助成金並びに教会に連なる多くの方々の献金によって実施されたことを覚えていきたいと思います。